いよいよ暑い夏がやってきた。一気に気温が上がってムシムシするこの時期、注意したいのが熱中症だ。

暑い環境下で体内の水分が不足するなどして汗をうまくかけなくなり、体温が上昇して起こるのが熱中症。頭痛や吐き気、だるさ、意識障害などが起こり、最悪の場合、死に至ることもある。

「炎天下で運動時に倒れて救急搬送、というイメージが強いが、実は熱中症は屋内や睡眠中など、普段の生活でも起こる危険がある」と、神奈川県立保健福祉大学の谷口英喜教授はいう。

下の「夏バテ・熱中症リスク」のチェック表で、気づかないうちに熱中症リスクを高めてないか確認してみよう。

女性は男性よりも熱中症リスクが高い、という説もある。

女性は体内の水分含有率が低いうえに、加齢とともに水分量が減少する(下グラフ)。その理由の一つは筋肉量の差にあるようだ。「女性は男性に比べて筋肉量が少ない。筋肉には毛細血管が集まっていて水分を蓄える働きがあるが、筋肉量が少ないと汗を生み出しにくくなってしまう。また、ダイエットやむくみを気にして水分の摂取を控えたり、利尿作用のあるダイエットサプリを服用している場合も水分不足に陥りやすいので要注意」(谷口教授)。

早稲田大学人間科学学術院の永島計教授も、「女性は男性よりも汗をかく汗腺の数が少なめだといわれる。それに加え、オフィスでエアコン環境にさらされっぱなしでいると、暑さに対応して汗をかく機能が鈍く、いざ高い気温にさらされても必要な汗をかけないため、上手に体温を下げられない」と話す。

暑いときに汗をかいて体温を下げる働きは、自律神経が担っている。生活のリズムが乱れると自律神経のバランスが崩れ、体温調節や、“汗をかけ”という指令をうまく伝えることができなくなる。さらに、冷たいものばかりとっていると消化機能もダウンする。「疲れやすい、だるい、食欲が落ちるなどの夏バテ症状を感じたら、体の中に熱がこもって熱中症になりかけている危険信号だと受け止めて、すぐに対策を講じること」と、谷口教授はアドバイスする。